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石田 毅*; 藤戸 航*; 山下 寛人*; 直井 誠*; 藤井 宏和*; 鈴木 健一郎*; 松井 裕哉
Rock Mechanics and Rock Engineering, 52(2), p.543 - 553, 2019/02
被引用回数:16 パーセンタイル:67.51(Engineering, Geological)瑞浪超深地層研究所の深度500mレベル坑道底盤より鉛直下向きにボーリング孔を掘削し水圧破砕を実施した。その際、注入孔から1m離れた4つのボーリング孔内に16個のセンサーを配置し、AEイベントを観測した。最初のブレークダウンは10mL/minの流量で生じ、流量を10mL/minから30mL/minに増加させルことにより、最初のブレークダウンよりも大きな2回目のブレークダウン時に再破砕が生じた。AEの震源位置は最初と2回目のブレークダウンとも破壊していない領域のみに生じ、流量が維持された状態で注入されている時はそれ以外の領域には発生しなかった。破壊されていない領域に発生した最初と2回目のブレークダウン時のAEのP波初動の押し引きより推定される破砕メカニズムは、引張型の破壊と推定された。これらの結果は、流量の増加が水圧破砕亀裂の再破砕に効果的であることを示している。加えて、再破砕時のブレークダウンプレッシャーは1回目よりも大きく、引張型の亀裂進展を示しており、これは水圧破砕に関する古典的な弾性理論と調和的な結果である。
根本 義之; 加治 芳行; 小川 千尋; 中島 一雄*; 東條 匡志*
材料と環境, 66(5), p.180 - 187, 2017/05
使用済み燃料プール(SFP)の冷却不全または冷却水損失による重大事故が発生した場合、使用済み燃料被覆管は空気中に露出し、崩壊熱による温度上昇が起こる。そのため空気中での被覆管の高温酸化の研究を行うことがSFPの安全性評価のために重要である。本研究では、燃料被覆管材料であるジルカロイ2(Zry2)およびジルカロイ4(Zry4)を用いて、温度および空気の流量を変化させた条件における熱天秤による酸化試験を行った。熱天秤の試験では試験温度の上昇に伴い酸化速度が上昇する傾向が見られたが、使用済み燃料ラック内でSFP事故時に想定される空気の流量範囲では、Zry2の場合は950C以下、Zry4の場合は1050C以下で明らかな流量の影響は見られなかった。一方、それ以上の温度では、流量が高い場合に酸化速度が顕著に速くなる傾向が見られ、その傾向は温度が高いほど顕著に現れた。空気中における酸化過程の詳細検討のため、酸化試験後、酸化層の詳細観察を行い、重量変化データとの比較を行った。その結果、重量変化は表面酸化膜の割れ以前の過程では、試料表面での緻密な酸化膜の成長に依存し、表面酸化膜の割れ以降の過程では、酸化膜の割れの下層での多孔質な酸化層の成長に依存することが明らかになった。
菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 二川 正敏; 佐々 敏信; 大井川 宏之; 三浦 邦明*
日本機械学会2002年度年次大会講演論文集, p.273 - 274, 2002/09
加速器と未臨界炉を組み合わせた核変換実験装置では、核破砕ターゲットとして鉛ビスマスを用いる。高温で流動する鉛ビスマスの循環試験を3000時間実施し、オーステナイトステンレス鋼SS316のコロージョン・エロージョン特性を研究した。その結果、SS316材の腐食量は0.1mm/3000時間,Cr-Feの結晶粒が循環ループ内の低温部に析出することがわかった。試験温度は高温部で、450C,低温部で400C流速は1m/sである。鉛ビスマスは4NのArガスで封入し、酸素濃度は積極的に制御していない。
渡辺 庄一; 三好 慶典; 山根 祐一
JAERI-Tech 2002-043, 93 Pages, 2002/03
ウラン加工工場臨界事故では、初期バースト出力に引き続き、プラトー部では熱的に有意な出力レベルが持続した。一連の事故出力変化は、JCO東海事業所の線エリアモニタの観測データとして記録されている。この有意な出力レベルが持続した要因として、JCO沈殿槽の冷却水ジャケットの水が流れていたことが挙げられる。また、緩やかな出力降下が観測されたが、主な要因として燃料溶液からの水分蒸発効果が考えられる。観測された出力を再現し得る熱的な条件について知見を得ることを目的として、JCO沈殿槽の本体部を模擬したモックアップ試験装置を製作し、一点炉近似動特性方程式を解いて得られた出力に基づき電気ヒータ出力を制御する方法により、プラトー部での熱特性シミュレーション試験を行った。主な試験パラメータは、初期投入反応度に対応する初期溶液温度及び熱除去にかかわる冷却水流量である。試験では有意な水分蒸発量が測定され、反応度約2.5ドルの場合にプラトー部での観測値を再現する結果が得られた。
石山 新太郎; 武藤 康; 緒方 寛*; 山田 誠也*
日本原子力学会誌, 43(11), p.1136 - 1148, 2001/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)コンパクト熱交換器の概念設計の結果、超細密オフセットフィン型伝熱エレメントを流路幅890mm高さ約6800mm流路長さ940mmにすることにより、温度効率95%を達成できる見通しを得た。しかしながら、コンパクト熱交換器寸法がこのように大型となるとヘッダから伝熱エレメント高さ方向に供給される被加熱流体に流量アンバランスが生じ易くなり、その結果コンパクト熱交換器の伝熱性能が低下する可能性がある。そこで、コンパクト熱交換器の三次元熱流動解析を実施することにより、被加熱流体(低温側)側ダクト高さ方向に仮想流量アンバランスが生じた場合のコンパクト熱交換器の伝熱に関する性能評価を行った。その結果、下記結論が得られた。(1)被加熱流体の流量アンバランスは全ヘリウム流量に対して最大で-20%~14%生じる。(2)加熱流体側に被加熱流体と同一の流量アンバランスが生じた場合、被加熱側に流量アンバランスが生じない場合のコンパクト熱交換器1ユニット当たりの温度効率(=95%)に対して約0.5%低下する。(3)加熱流体側に被加熱側と対称の流量アンバランスが生じた場合、コンパクト熱交換器の伝熱性能が低下する割合が最も大きく、被加熱側に流量アンバランスが生じない場合のコンパクト熱交換器1ユニットあたりの温度効率に対して約1.3%低下する。以上の結果、想定される流量アンバランスが生じた場合でも設計要求仕様を満足するコンパクト熱交換器の設計が可能であることが結論された。
秋野 詔夫
日本機械学会流体工学部門講演会講演概要集(CD-ROM), 4 Pages, 2001/10
ISプロセスの制御では、腐食性薬液の微小な流量と組成を計測する必要がある。フロート型面積流量計は、ガラス製テーパ管の中にフロートを入れた構造であり、耐食性が高く、微小流量計測に適している。テーパー管内のフロートの位置は、流量と流体物性(密度,粘性)によって決まる。本講演では、2個のフロートを用いることによって、流体の密度を測定し、それを用いて正しい流量の測定ができることを示す。本方法の原理は、流体の密度変化がフロート位置に与える影響は、軽いフロートでは大きく、重いフロートでは小さいことに基づいている。本研究の成果は、物性や組成が変化する場合に密度計等を用いることなく、フロート形面積流量計の安全性を生かすことができるので、ISプロセスの開発に役立つものである。
斉藤 和男*; 石田 紀久
JAERI-Tech 2001-039, 25 Pages, 2001/06
大型船舶用原子炉MRX及び深海調査船用原子炉DRXにおいては、蒸気発生器を原子炉容器に内装する一体型構造を採用している。蒸気発生器はヘリカルコイル貫流型であり、多数のコイル(伝熱管)が、炉心を内包する原子炉容器内筒を取り巻くようにアニュラー空間内に設置されている。この伝熱管の管外流及び管内流により発生すると予想される流力振動を簡易計算により評価し、支持点ピッチの妥当性を検討した。
羽賀 勝洋; 寺田 敦彦*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
日本原子力学会誌, 42(8), p.821 - 824, 2000/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)大強度陽子加速器を用いた次世代の中性子源として設計検討を進めている水銀ターゲットについて、陽子ビームの入射方向に対し水銀の流れが直交するクロスフロー方式ターゲット構造の有効性を確認するため、アクリル製の実規模水銀ターゲットモデルを製作して非加熱の水流動実験を行い、PIV(Particle Image Velocimetry)法で流速分布を測定した。並行して、水流動条件下での流速分布解析を行い、実験結果と比較検証した。その結果、ターゲット内の発熱密度分布に応じたクロスフロー方式の流量配分を達成できる目処を得た。また、標準K-モデルを用いた解析で、全体的な流動パターンの特徴を再現することができた。
野邊 潤*; 松本 昌昭*; 長坂 和佳*; 丸山 健太郎*
JNC TJ8400 2000-006, 232 Pages, 2000/05
本研究では、昨年度までに構築した連続体モデルによるニアフィールド多孔質岩盤中の水理/核種移行評価手法を用いて、地下水流動を特徴付けるパラメータを変化させた場合の解析を行うと共に、手法の拡張性を考慮した信頼性評価を行った。具体的には下記の項目を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手法を用いて、第二次取りまとめに即したパラメータ設定による解析、および入力フラックスの変化に伴う影響評価を行った。・一次元核種移行解析コード「MATRICS」における、逆ラプラス変換手法の違いによる適用性把握を行った。・多要素版MATRICS(以下m-MATRICSとする)を用いて核種移行解析を行い、従来のMATRICSによる解析結果と比較し、不均質場における核種移行計算へのm-MATRICSの適用性の検討を行った。・三次元飽和・不飽和浸透流解析から一次元核種移行解析までの一連の解析手順を統合化した環境の整備を行った。
藤田 朋子
JNC TN9400 2000-038, 98 Pages, 2000/04
実用化戦略調査研究の一環として、有力な候補プラントの1つであるナトリウム冷却MOX燃料大型炉心について、再臨界回避方策の評価を実施した。実証炉の炉心崩壊事故解析等による従来の知見から、流量低下型事象時に炉停止に失敗し、大規模な溶融燃料プールが形成されて初めて、径方向揺動等による燃料の移動集中が生じ、厳しい即発臨界現象に至る可能性があることが分かっている。再臨界の可能性を排除するために、炉心物質の再配置を制御するCMR(Controlled Material Relocation)概念に基づいた再臨界回避方策の候補として、内部ダクト付き集合体、LAB(下部軸ブランケット)一部削除型集合体が提案されている。これらの方策についてSIMMER-IIIコードを用いた予備解析を実施し、CMR有効性の比較検討を行った。検討した候補のうち、内部ダクト付き集合体が最も燃料流出が早く、再臨界回避方策として有力である見通しを得た。LAB一部削除集合体でも、若干燃料流出は遅くなるが有望な候補である。しかしながら、中央ピンにUAB(上部軸ブランケット)を残す場合は、炉心下方でのFCIによって炉心燃料領域内に燃料が再流入するため、炉心性能へ著しい影響を与えない限り、中央ピンのUABも削除する方が良い。中央ピンの燃料軸長の長短が燃料流出挙動に与える影響は小さく、むしろUAB有無の影響が重要である。
久保 篤彦
JNC TN9410 2000-010, 72 Pages, 2000/03
高速実験炉「常陽」は、昭和57年に照射用炉心(MK-II炉心)として初臨界を迎えて以来、31サイクルの定格出力運転を行い、平成9年12月にMK-III炉心への移行を開始した。その間、「常陽」では多くのプラント特性試験データを蓄積しており、これをMK-II炉心の運転開始に先立って原子炉の性能を確認する性能試験、原子炉の安全な運転を確保するためサイクル毎に実施する運転特性試験、高速炉開発に関するデータ取得と解析評価手法の開発・整備のために実施する特殊試験がある。本報告書では、試験項目毎にその内容と結果を示した。また、本文中に記載したデータの他、動特性に関する時系列データを含め、ユーザーがこれらのデータを机上のPC環境下で利用できるように、光磁気ディスクにて支給可能とした。
遠山 茂行*; 若松 尚則; 岡崎 彦哉
JNC TJ7440 2000-019, 17 Pages, 2000/03
核燃料サイクル開発機構では、地表から地下深部までの地下水流動を把握するため、地下水流動を規制する地質構造、水理地質学的研究を実施している。この研究の一環として、地下水流動を規制する地質構造、水理地質学的研究を実施している。この研究の一環として、地下水、気象、河川流量および土壌水分の観測(表層水理定数観測)を継続して行っている。現在まで、ICカード等を記録媒体とするデータ収録装置を使って、半自動観測を行っているが、今後、計画されている研究坑道掘削の影響調査においては、より迅速な観測結果の把握と評価が求められる。本業務では、表層における地下水流動特性の変化を随時観測するために、正馬様用地においては計測している気象観測装置、河川流量計、土壌水分計および地下水位計に電話回線を使用してデータを回収・管理するためのテレメータ集中管理システム用の機器を設置した。今回新たに設置した機器は、以下のとおりである。
斎藤 庸*; 坂森 計則*
JNC TJ7400 2000-007, 222 Pages, 2000/03
地下水流動解析結果の検証項目としては、主に試錐調査から得られる水頭分布や地下水の水質、年代が考えられている。しかし、これらの試錐調査からの情報は地域が限定されるため、これらの検証項目に加えて、解析対象領域の全体的な地下水の流動状態を検証するための補完的なデータが必要である。一方、これまでの東濃地科学センターにおいて実施した地下水流動解析結果から、地下深部の地下水と河川との間には密接な関係があることが明かとなっている。以上のことから、解析対象領域の全体的な地下水流動状況が検証できる補完的データ準備の一環として、河川流量観測の行われていない日吉川の流量を予測するタンクモデルの構築を行った。主な作業の概要と成果は以下の通りである。1)タンクモデルの構築は、以下の手順で実施した。(1)日吉川全流域を主に地質構成に基づいて46の小流域に区分、(2)正馬川流域・柄石川流域及び土岐川流域(多治見観測所)の流量観測を利用して地質構成と河川流出の関係(地質構成を流出モデルへ反映させる方法)を整理、(3)各小流域毎に地質構成に基づく流出モデルを構築し全体を連結、(4)日吉川全流域の流出を予測 2)小流域のタイプ区分は、既往の水文調査結果をレビューし、比流量(河川流況)と流域の地質構成(瀬戸層群体積)との相関性を指標にした。3)今回提案した日吉川流量推定方法では、瀬戸層群の体積と無降雨時の河川 比流量との関係成立が基本となるため、地質状況の確認の他、現地観測の 補足により検証対象の増加を図り予測精度の向上を期す必要があることが 明らかになった。4)従来からサイクル機構が行ってきた水収支計算は、年度を対象としたものであるためタンクモデル計算には不適切な点がある。蒸発散量の推定法、タンクモデル計算上の蒸発散の扱い方などについては再検討を要するものと考える。
村松 壽晴
JNC TN9400 2000-008, 323 Pages, 2000/02
高速炉の炉心出口近傍では、炉心構成要素毎の熱流力特性(集合体発熱量、集合体流量)の違いから、炉心燃料集合体間あるいは炉心燃料集合体-制御棒集合体間などで冷却材に温度差が生じ、それらが混合する過程で不規則な温度ゆらぎ挙動が発生する。この温度ゆらぎを伴った冷却材が炉心上部機構各部(整流筒、制御棒上部案内管、炉心出口温度計装ウェルなど)の表面近傍を通過すると、冷却材中の不規則な温度ゆらぎが構造材中に伝播し、その材料は高サイクル熱疲労を受ける(サーマルストライピング)。特に、冷却材として液体金属ナトリウムを使用する高速炉では、大きな熱伝導率を持つナトリウムの性質から、この熱疲労に対する配慮が必要となる。本研究では、上流側に90エルボを持つ主配管と枝管から構成される配管合流部でのサーマルストライピング現象について、直接シミュレーションコードDINUS-3による解析的検討を行った。本研究で着目したパラメータは、当該合流部における(a)口径比、(b)流速比、(c)主配管エルボ-枝管間相対角度および(d)レイノルズ数であり、これらパラメータが配管合流部下流領域での乱流2次モーメントの空間分布特性に与える影響を評価した。得られた結果は、次の通りである。(1)流速比()を1.0に固定した条件においては、口径比()が小さいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(2)口径比()を1.0に固定し、流速比()を主配管内流速の増減により模擬した条件においては、流速比が大きいほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。一方、流速比を枝管内流速の増減により模擬した条件(口径比を3.0に固定)においては、流速比が小さほど乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。(3)主配管角()を変化した場合、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布は大きく変化しない。しかしながら、それらピーク値は、主配管角が180である場合が最も大きくなる。(4)レイノルズ数(Re)が大きいほど、乱流2次モーメントの主配管内流れ方向の空間分布範囲は広がる。
秋野 詔夫
日本機械学会流体工学部門講演会2000講演論文集 (CD-ROM), 4 Pages, 2000/00
通常、浮き子式流量計は、物性値が既知の流体の流量を計測するのに用いられる。その指示する流量は、流体密度、流体粘性は関数関係となっているので、流量と粘性が既知であれば、密度を計測できることを示した。また、流量が既知であれば、混合流体の濃度を測定できることを示した。さらに、形状と密度の異なる二つの浮き子を用いることによって、密度と粘性を計測できる可能性を示した。すなわち、浮き子の形状、密度、流量計の使用台数を組み合わせることによって、流量ばかりではなく、物性を計測ができることを明らかにした。本研究では、上記の種々の可能性と測定精度を検討し、浮き子式流量計の新しい可能性を見いだした。
林田 均; 荒 邦章
JNC TN9400 2000-020, 54 Pages, 1999/11
レーザ誘起ブレークダウン分光法によるレーザNa漏洩検出システム(Laser Sodium Leak Detector:以降LDDと略す。)は,レーザ光によりナトリウムエアロゾルをプラズマ化し,それにより発生する蛍光中からナトリウム特有の光スペクトルを検出するもので,ナトリウムを選択的に検出するために,ナトリウム微少漏洩を早期に信頼性高く検出できる可能性がある。本報告では,LLDのナトリウム微少漏洩検出への適用性を検討するために,LLDの原理的な動作確認と基本的な性能把握を目的に,ナトリウムエアロゾルを用いて各種条件で検出特性を試験した結果についてまとめた。その結果,以下のような知見を得た。1)LLDにより,原理通りにナトリウム特有の光スペクトルを検出できることが確認できた。2)ナトリウム濃度とLLD蛍光強度の関係は,Na濃度10のマイナス11乗10のマイナス8乗g/cmの3乗の広い範囲で,ほぼ比例する。3)本試験範囲でLLD信号は,サンプリングガス流量,酸素濃度,水分濃度などの影響をほとんど受けない。LLDはナトリウム濃度にのみ大きな反応を示すので,極微少な漏洩においても高SN比の信号が得られ,信頼性の高い検出が可能である。これらから,LLDは,ナトリウム微少漏洩を,早期に信頼性高く検出する手法として適用できる可能性が明らかになった。
羽賀 勝洋; 須々木 晃*; 寺田 敦彦*; 石倉 修一*; 勅使河原 誠; 木下 秀孝; 小林 薫*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 99-081, p.43 - 0, 1999/11
中性子科学研究計画の下で現在検討中の重水冷却方式固体ターゲットについて、タングステンをターゲット材とし、その冷却性、冷却水の体積割合、及び熱応力を主な設計条件として一次元の概略評価を行いターゲット板の厚さ配分を決定した。さらに二次元の熱応力解析を行い、厚さ配分の妥当性を確認した結果から、40枚のターゲット板を6つの冷却流路に分割し、それぞれをワンスルーで冷却する構造を提案した。次に、汎用流動解析コードを用いて流動解析を行った結果、ターゲット板間流速で1m/sから10m/sの広い範囲にわたって均一な流量配分を実現できる見通しを得た。また、圧力損失は1.5MW及び2.5MW規模の固体ターゲットを冷却するために必要な板間流速である5m/s,7m/sで、それぞれ0.09MPa,0.17MPa程度であることがわかった。
寺田 敦彦*; 神永 雅紀; 木下 秀孝; 日野 竜太郎; 内田 博幸*; 安保 則明*
JAERI-Tech 99-073, p.42 - 0, 1999/11
原研では、中性子科学研究計画の下で、大強度陽子加速器(ビーム出力5MW)による中性子散乱施設の建設を計画している。本施設の核破砕中性子源となる水銀ターゲットについては、ターゲット材となる水銀による構造材のエロージョン低減と局所的な高温領域の抑制等の工学的課題が懸案となっている。そこで、これらの課題を改善するための構造概念として案内羽根を用いるクロスフロー方式のターゲット構造を提案し、内部流動特性の解析評価を行った。その結果、ターゲット先端部のビーム窓方向に対して案内羽根を延長し、また、補助羽根を設置することなどの方策で、発熱密度に応じた水銀の流量配分を実現できる目処を得た。この成果をもとにして、水流動条件下で解析結果を検証し、ブレード構造の有効性を確認するため、アクリル製の水銀ターゲットモデルを製作した。
鈴木 弘; 三浦 昭彦; 藤田 秀人; 佐野 雄一
JNC TN8410 99-043, 135 Pages, 1999/10
アスファルト固化処理施設における火災爆発事故の原因に関し、エクストルーダから排出されたアスファルト混合物が高温であったことが考えられる。小型の2軸エクストルーダを用いた試験の結果からは、エクストルーダ内においてアスファルト混合物中の塩濃度が局所的に上昇し、粘性発熱を増大させること、エクストルーダ内の塩堆積により摩擦熱が発生することなどが確認された。これらの現象は、試験の結果からエクストルーダの運転方法等との関連が深く、運転時の挙動としてトルク等に現れると考えられた。このため、これらの試験結果を基に実機4軸エクストルーダの装置構成や運転方法を整理した上で運転記録の分析・評価を行った。この結果、運転記録に塩濃縮及び塩堆積の発生を示すと考えられる挙動が多数見られ、エクストルーダへの廃液供給速度の低下によりトルク値が26Bから30Bまで順次上昇していること等が確認された。これらのことから、廃液供給速度低下によりエクストルーダ内の物理的な発熱が増大され、充てん温度が標準供給速度時に比べ高くなったものと考えられ、ドラムへの充てん時期と物理発熱進展の考察結果が一致していることを確認した。これらの評価結果から、供給速度の低下によって2軸試験で確認されたようなエクストルーダ内部での塩濃縮現象及び塩堆積現象が顕著となり、これによる物理的発熱によって充てん温度が高くなったことが火災の原因であると評価した。
遠山 茂行*; 若松 尚則; 岡崎 彦哉
JNC TJ7440 99-031, 22 Pages, 1999/09
対象地域の表層部の水理学的環境を把握するため、柄石川上流域の花崗岩および瀬戸層群の分布するエリアを対象として、表層水理観測システムを設置した。観測システムは河川流量計および気象観測装置からなる。河川流量計は1.5フィートと2インチの2つのパーシャルフリュームより構成され、柄石川本流に設置された。気象観測装置は流域北西部の尾根上に設置され、降水量および蒸発散量を把握するための観測装置からなる。